知ってるようで知らない?歌のテクニック「ビブラート」の基礎知識

カラオケや歌番組で耳にするビブラート。音を揺らして歌に表情をつけるテクニックとして知られていますが、実は多くの人が勘違いしていることがあります。一生懸命に練習してもなかなかうまくいかない、不自然なビブラートになってしまう、そんな悩みを持っている人もいるのではないでしょうか。


ビブラートは「無理にかける」ものではない

ビブラートは、意識的にかけるものではなく、理想的な発声状態で自然に発生する現象です。よく見かける、音程を上下させて声を震わせるようなやり方は、実は本物のビブラートではありません。聞く人が聞けば、不自然さや不器用さが伝わってしまいます。再生回数を稼ぐための動画などで、間違ったビブラートの練習方法が紹介されていることもありますが、そういった情報に惑わされないように注意が必要です。

自然なビブラートは、理想的な発声から生まれる

では、自然なビブラートはどのようにして生まれるのでしょうか。それは、声帯の伸展、声門の閉鎖、そして十分な呼気圧という3つの要素がバランス良く揃ったときに起こります。

  • 声帯の伸展: 声帯が無理なく伸びている状態。
  • 声門の閉鎖: 声帯がしっかりと閉じ、無駄な息漏れがない状態。
  • 十分な呼気圧: 歌に必要なだけの息が、安定して送られている状態。

これらの条件が満たされると、声帯の開閉部分が呼気の流れによって細かく揺れ、それが結果として美しいビブラートとなるのです。

ビブラートを身につけるための近道は「基礎練習」

もしあなたが「どうすればビブラートができるようになるんだろう?」と考えているなら、ビブラートだけを練習するのではなく、まずは基本的な発声練習に立ち返ることをお勧めします。

  • 腹式呼吸をマスターして、安定した息の量を確保する。
  • 喉に力が入らない、リラックスした状態で声を出す練習をする。
  • まっすぐで安定したロングトーン(長く音を伸ばすこと)を出す練習をする。

これらの基礎練習を毎日コツコツと続けることで、正しい発声が身につき、その結果として、あなたの歌声に自然で美しいビブラートが加わるでしょう。遠回りに見えるかもしれませんが、これこそが本物のビブラートを手に入れるための最短ルートなのです。


無理な練習で喉を痛める前に、まずはあなたの発声を見直してみませんか?